変形性股関節症
リボーンクリニック 大阪院の変形性股関節症
股関節 骨切術で後悔しないために知っておくべき選択基準
痛みを減らし未来を守る股関節 骨切術という選択とは
変形性股関節症、大腿骨頭壊死症、臼蓋形成不全症などで股関節の痛みが続き、これまでの治療法だけでは改善が見えないとき、医師から「手術」という言葉が伝えられることになります。手術という選択肢が視野に入ると、不安や疑問が一度に押し寄せてくることもあります。
この手術については大きく「人工股関節置換術」、「骨切り術」があり、患者様の症状、年齢、活動のレベルを考慮して選択することになります。ここでは「骨切術」の場合を中心に説明してまいります。(参考:股関節の人工関節で知っておきたいこと)
手術というと怖いかもしれませんが、骨切り術は“怖いもの”ではなく、人工関節とは違い「自分の関節を長く守るための方法」であることが見えてきます。
今回の記事では、股関節骨切術の基礎知識から手術の目的、術式の違い、適応となる患者像、費用や入院期間、そして人工股関節や再生医療との比較まで、必要な情報をひとつずつ整理しました。初めて知る方にも理解しやすいよう、できるだけやさしく解説してまいります。
治療を考えるとき、何より大切なのは「自分の状態に合う選択ができるかどうか」です。読み進めていただくことで、ご不安を一つずつ解消し、治療の全体像が見えやすくなります。納得して前へ進むための手がかりとして、ぜひご活用くださると幸いです。
この記事で分かること
- ☑ 股関節 骨切術の目的や仕組みなど基礎知識の理解
- ☑ 適応となる患者像と治療選択の判断基準
- ☑ 術後の痛み・リハビリ・回復ステップの全体像
- ☑ 人工股関節や再生医療との違いと比較ポイント

股関節 骨切術の基礎知識
股関節の骨切り術は、変形性股関節症や臼蓋形成不全のように、股関節の構造そのものに問題がある場合に行われる「関節温存術」です。人工股関節に置き換えるのではなく、骨を切って角度や位置を調整し、残っている軟骨に負担が集まりすぎないようにするのが特徴です。
ただし、この治療が意味を持つのは、軟骨がまだ一部に残っている患者さんでは、関節の形を変えることでスムーズな動きを取り戻せる方に限られます。特に若年層に多い臼蓋形成不全では、骨盤側の屋根(臼蓋)が浅く、大腿骨頭を覆いきれない状態のため、骨切り術で、屋根を本来あるべき方向へ移動させ、荷重のバランスを整えていきます。
理解しやすいよう、代表的な治療の選択場面を表にまとめると次のようになります。
| 状況 | 骨切り術が検討される理由 |
|---|---|
| 軟骨が一部残っている | 関節を温存できるため効果が期待できる |
| 年齢が比較的若い | 人工股関節の寿命問題を避けやすい |
| 臼蓋形成不全がある | 屋根の位置を正しい方向へ修正できる |
股関節骨切術は、あくまで「元の関節を生かしたまま治せる人」に向けた方法です。人工股関節と比較して回復に時間はかかるものの、自分の関節で長く過ごしたいと考える方にとっては価値が高い手段といえるでしょう。
POINT -
- ●骨切り術は関節を温存する治療
- ●軟骨が残っている患者に有効
- ●関節構造を修正し痛みの進行を抑える
手術の目的と得られる効果
股関節の骨切り術の目的は、単に痛みを取るだけではなく「股関節にかかる力の流れを正常に近づけ、関節の寿命を延ばすこと」にあります。今ある関節の軟骨を活かし、体重を受け止める位置を変えることで、負担が偏らないよう調整していく手術です。
軟骨は一度すり減ると自然回復が難しく、早期の段階であれば正しい方向に力が伝わるように修正する必要があります。軟骨が残っている部位に荷重を移動できれば、痛みの軽減だけでなく、進行の抑制も期待できるからです。
例を挙げると、臼蓋形成不全では臼蓋の被りが浅いため、大腿骨頭の一部に負担が集中します。骨切り術では骨盤側または大腿骨側の角度を変えて「被り」を増やし、より広い面積で体重を受け止められるようにします。その結果、動きがスムーズになり日常生活での不自由さが軽減されることになります。
骨切術で得られる効果を整理すると次のとおりです。
| 得られる主な効果 | 内容 |
|---|---|
| 痛みの軽減 | 負担が分散し炎症が起こりにくくなる |
| 関節の動きの改善 | 正しい位置で骨が噛み合うようになる |
| 将来の人工股関節を回避・延期 | 自分の関節を維持しやすい状態に整える |
ただし、軟骨がほとんど残っていない末期の患者では効果が限定されやすいため、手術の可否については専門医と十分に検討することが欠かせません。
POINT -
- ●目的は痛み軽減と関節寿命の延長
- ●荷重バランスを整え動きを改善する
- ●人工股関節を遅らせる可能性がある
主な骨切り術(RAO・キアリ・大腿骨骨切り)の特徴
骨切り術には複数の種類がありますが、どの方法も「骨の形を変え、軟骨に優しい荷重ラインへ調整する」という共通の目的を持っています。ただし、切る部位や対象は異なるため、その特徴をご説明します。
ここでは、代表的な3つの手術をわかりやすく整理しましょう。
1. 寛骨臼回転骨切り術(RAO)
臼蓋形成不全に対する代表的な治療で、寛骨臼を球状に切り抜き回転させて「大腿骨頭の被り」を改善します。
・軟骨が残っている若年層に向く
・荷重負担を広い範囲へ分散できる
・術式としての歴史が長く実績が多い
2. キアリ骨盤骨切り術
臼蓋の上で骨盤を水平に切り、内側へずらして固定する方法です。
・関節唇や軟骨が損傷していても土台を作れる
・骨盤上部を「屋根」として補強するイメージ
・荷重面が新たに形成されるため安定性が出る
3. 大腿骨骨切り術
大腿骨(太ももの骨)を切って角度を変え、傷んだ軟骨に体重が集中しないよう調整します。
・内反骨切り/外反骨切り/大腿骨頭回転骨切りがある
・大腿骨側に原因があるケースに適応
・臼蓋側の骨切り術と組み合わせる場合もある
以下に整理しました。
| 手術名 | 切る部位 | 主な適応 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| RAO | 骨盤(臼蓋) | 臼蓋形成不全・軽度変形 | 被覆改善・長期成績が良い |
| キアリ | 骨盤(臼蓋上部) | 関節唇損傷・軟骨損傷がある例 | 新しい荷重面を形成 |
| 大腿骨骨切り | 大腿骨 | 大腿骨頭側に問題がある例 | 角度変更で負担を調整 |
骨切り術は患者の骨の形・年齢・軟骨の状態により適応が大きく変わるため、専門医による判断が欠かせません。
POINT -
- ●骨切り術には複数の術式がある
- ●RAO・キアリ・大腿骨骨切りで適応が異なる
- ●骨の形や軟骨の状態で最適な方法が変わる
適応となる患者像と判断基準
骨切り術の対象となるのは、自分の関節をできるだけ温存したい方の中でも「軟骨が十分に残っている人」です。特に、臼蓋形成不全や軽度の変形性股関節症など、関節の構造そのものに負担が偏りやすい状態が続いているケースで選ばれます。
こうした基準が設けられている理由は、軟骨がしっかり残っているほど、骨切りによって体重のかかる位置を整えたときの効果が出やすいからです。まだ関節が壊れていない段階でアプローチするほど、長期的に関節の寿命を延ばせる可能性が高まります。
判断するときに医師が重視する項目を、理解しやすいよう表にまとめました。
| 判断基準 | 内容 |
|---|---|
| 軟骨の残存量 | レントゲン・MRIで軟骨がどれだけ残っているか評価する |
| 年齢 | 10〜40代、または関節の損傷が軽度の50代までが中心 |
| 病期 | 変形が軽度〜中等度で、関節面が保たれている状態 |
| 骨の形態 | 臼蓋形成不全・骨頭のズレ・わずかな変形などが明確に確認できること |
| 活動度 | 日常生活での負担が多い人、将来も関節を長く使いたい人 |
こうした条件に当てはまる場合、骨切り術は人工股関節よりも自然な関節を維持できる治療として選択肢に入ります。
POINT -
- ●軟骨が残っている患者で効果が出やすい
- ●臼蓋形成不全や軽度変形に向く
- ●年齢・病期・骨の形などを総合的に判断する
手術できないケースと注意点
骨切り術は万能ではなく、適応外となる状況もあります。特に、軟骨がほとんど消失してしまっている「末期の変形性股関節症」では、骨を動かしても負担の軽減が難しいため、人工股関節のほうが効果が期待できます。
また、骨の癒合に時間がかかる特性から、骨粗しょう症が進んでいる患者では、術後に十分な骨の再生が得られないリスクがあります。さらに、長期間のリハビリに取り組むことが難しい場合も、適応判断が慎重になります。
わかりやすいようにまとめると、次のようなケースでは骨切り術が推奨されません。
| 適応外となりやすい例 | 理由 |
|---|---|
| 末期の変形性股関節症 | 軟骨が失われ、骨切りで負担移動ができない |
| 高度な骨粗しょう症 | 骨がつきにくく、固定が不安定になる |
| 痛みが極度に強く生活が困難 | 即時性の高い人工股関節が適していることが多い |
| 高齢者で活動度が低い | 骨切り術よりも人工股関節のメリットが大きい |
| リハビリが継続できない状況 | 長い回復期間に対応できないため |
ここで忘れてはいけないのは「手術前の生活状況」です。骨切り術は術後の荷重制限が長く続くため、家事や育児・仕事との両立を考えて手術計画を立てる必要があります。
POINT -
- ●末期の変形例では効果が限定される
- ●骨粗しょう症や高齢者では適応外になることがある
- ●長期間のリハビリが前提となる点に注意が必要
費用の考え方と保険適用の範囲
骨切り術は保険診療の対象であり、自由診療ではありません。患者の負担額は健康保険の自己負担割合によって変わります。一般的には「3割負担」での支払いとなるため、費用全体が高額に見えても、実際の負担額は大きく抑えられます。
さらに、高額療養費制度を利用すれば、1か月間に支払う自己負担額が一定額で頭打ちになるため、実際に支払う金額は標準的な入院治療と大きく変わらないケースもあります。
(制度の詳細は、厚生労働省「高額療養費制度概要」を参照:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000106602.html)
費用のめやすをまとめると次のようになります。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 手術+入院費用(総額) | 約100〜200万円(病院や術式で変動) |
| 自己負担(3割負担の場合) | 約30〜60万円 |
| 高額療養費制度利用後の実質負担 | 所得区分により数万円〜上限額まで |
費用について理解しておきたいのは、骨切り術は入院期間が比較的長いことです。人工股関節手術が1〜2週間の入院で済むケースが多いのに対し、骨切り術では約4〜8週間の入院が一般的です。そのため、入院日数に応じて費用が増減します。
とはいえ、ほとんどの患者は高額療養費制度を利用するため、実際の負担は大幅に軽減されます。家庭の状況や仕事との兼ね合いを考えながら、医療ソーシャルワーカーとの相談も検討すると安心です。
POINT -
- ●骨切り術は保険診療で受けられる
- ●高額療養費制度を利用すると負担が軽減される
- ●入院期間が長いため費用は調整しやすい
入院期間から退院までの標準的な流れ
股関節の骨切り術を受けると、入院期間は一般的に4〜8週間ほど必要になります。これは、骨を切り角度を変えて固定する手術であるため、骨がしっかり安定するまでの時間が必要だからです。焦ってしまうと癒合が遅れたり、固定部に問題が生じる可能性があるため、一定の期間を確保しながら回復を進めます。
<p入院から退院までの流れを把握しておくと、スケジュールが立てやすくなります。多くの病院では次のような過程で回復を進めていきます。
| 期間 | 主な内容 |
|---|---|
| 手術前〜手術当日 | 麻酔説明、術前検査、手術実施 |
| 手術後1〜3日 | ベッド上で安静、痛みの管理、関節の軽い可動訓練 |
| 手術後1〜2週間 | リハビリ開始、部分荷重は不可(またはごく軽い荷重) |
| 手術後2〜4週間 | 松葉杖歩行の練習、可動域訓練の拡大 |
| 手術後4〜8週間 | 徐々に荷重を増やし歩行の安定化を目指す |
| 退院後 | 自宅リハビリを継続、通院でのフォロー |
退院後も骨が完全に癒合するまでは時間が必要です。そのため、しばらくの間は長距離歩行や重い荷物を持つ行為を控え、医師と相談しながら段階的に負荷を増やします。
POINT -
- ●入院期間は4〜8週間が一般的
- ●段階的に荷重を増やすリハビリが必要
- ●退院後も継続したリハビリが回復を左右する
股関節 骨切術の治療選択と注意点
骨切り術を選ぶ際に大切なのは、「どの治療が自分の関節の状態に合っているか」を正確に理解することです。同じ変形性股関節症でも、軟骨の残り方や骨の形の違いによって最適な治療は変わります。人工股関節が良い場合もあれば、骨切り術が長く効果を発揮する場合もあります。
治療選択が慎重に行われる理由は、骨切り術が“関節を温存する”という特性を持つ一方で、回復に時間がかかり、適応を誤ると期待する改善が得られないケースもあるためです。医師はレントゲン・CT・MRIを総合的に見ながら、軟骨の状態・骨形状・年齢・生活スタイルなどを評価します。
理解しやすくするため、治療選択の比較表を用意しました。
| 治療 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 骨切り術 | 関節を温存、時間をかけて体重負荷を調整 | 軟骨が残り、若年〜中年層 |
| 人工股関節置換術 | 即効性が高く、痛みが大幅に改善 | 末期で軟骨が消失した高齢層 |
| 再生医療(PRPなど) | 軟骨の保護や痛みの緩和を補助的に行う | 軽度〜中等度の症状 |
骨切り術を希望する場合でも、術後の生活に対応できるかどうかは見逃せません。特に、数か月単位でリハビリを続ける必要があるため、仕事の調整や家族のサポートについても事前に話し合っておくと安心です。
POINT -
- ●治療選択は軟骨の状態・年齢・生活に合わせて決定する
- ●骨切り術は関節を残したい人に向くが、回復には時間が必要
- ●人工股関節や再生医療と比較しながら選ぶ視点が大切
術後リハビリの進め方と回復ステップ
術後リハビリは、骨切り術の成果を左右する最も重要な要素です。骨を切って形を変えているため、新しい角度で体重を支えられるよう筋肉や動きを整える必要があります。適切なリハビリを積み重ねることで、歩行の安定や痛みの軽減がスムーズに進みます。
進め方は段階的で、術後すぐに強い負荷をかけることはありません。回復ステップのイメージを整理すると次のようになります。
| 時期 | 主なリハビリ内容 |
|---|---|
| 1週目 | 足首や膝の可動訓練、股関節の軽い動きの練習 |
| 2〜4週目 | 松葉杖歩行、筋力トレーニングの基礎を開始 |
| 1〜3か月 | 体重の増加負荷、歩行の安定練習、姿勢調整 |
| 3〜6か月 | 日常生活の動作訓練、やや強度の運動を再開 |
| 6〜12か月 | スポーツ復帰や長距離歩行のための最終調整 |
ここで意識してほしいのは「痛みが減っても、急に負荷を増やさないこと」です。骨の癒合には時間がかかるため、安定しない時期に無理をすると、治った骨にストレスがかかり回復が遅れる場合があります。
また、理学療法士による指導が欠かせません。筋力のバランスや歩き方のクセは自分では気付きにくいため、専門家の目で定期的にチェックを受けることで、より安全に回復が進みます。
POINT -
- ●術後リハビリは段階的に行う
- ●痛みが減っても無理な荷重は避ける
- ●理学療法士の指導が長期回復を支える
術後の痛みはどれくらい続くのか
骨切り術の術後は、一定期間の痛みが続くことがあります。骨を切って位置を調整する手術であるため、体が新しい配置に慣れるまで痛みや違和感が生じやすくなります。ただ、多くの患者では時間の経過とともに少しずつ落ち着いていく傾向があります。
痛みの経過をイメージしやすいよう、術後の一般的な変化を表にまとめました。
| 時期 | 痛みの特徴 |
|---|---|
| 術後〜1週間 | 動作時の痛みが強め。鎮痛薬を使用しながら安静に過ごす |
| 2〜4週間 | 徐々に軽減。松葉杖の歩行練習に伴い張り感が出る場合あり |
| 1〜3か月 | 可動域訓練により筋肉痛が出ることもあるが、鋭い痛みは減る |
| 3〜6か月 | 生活動作が安定。長時間歩行で疲労性の痛みが残ることもある |
痛みの感じ方は個人差が大きく、筋肉量・姿勢・術前の関節の状態などによっても変わります。また、痛みが長引く場合にはリハビリの負荷が合っていない可能性もあるため、担当の理学療法士や医師と密に相談することが大切です。
重要なのは、「痛みがある=悪化している」と決めつけないことです。回復過程で一時的に痛みが強くなることは珍しくありません。冷やす・温める・負荷を調整するなど、適切なセルフケアを併用しながら回復を進めていきましょう。
POINT -
- ●術後の痛みは段階的に軽減していく
- ●個人差があり、回復過程で一時的に痛みが強くなることもある
- ●痛みが続くときは負荷の調整や医師の確認が必要
仕事復帰のタイミングと気をつける点
仕事復帰のタイミングは、仕事内容と回復具合の両方を考慮して判断されます。一般的には術後2〜3か月頃から徐々に仕事へ戻る方が多いものの、デスクワークと立ち仕事では必要な回復期間が異なります。
復帰の目安をわかりやすく整理すると、次のようになります。
| 仕事内容 | 復帰の目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| デスクワーク | 1.5〜2か月 | 長時間座ると股関節に負担がかかるため、こまめな休憩が必要 |
| 軽作業 | 2〜3か月 | 歩行距離が多い場合は、痛みの程度に応じて調整する |
| 立ち仕事・移動が多い仕事 | 3〜4か月 | 片足に荷重が偏る姿勢は控え、適度な休息を挟む |
| 重労働 | 5〜6か月以上 | 骨癒合や筋力回復を慎重に見極める必要がある |
仕事復帰で気をつけたいのは、「できる動作が増えても、急に負荷を増やさないこと」です。骨の癒合は外見では判断できないため、主治医の指示を守りながら、生活のペースをゆっくり戻すことが安全につながります。
また、長時間の移動や階段の昇降が多い仕事では、股関節周囲の筋肉に疲労が溜まりやすい傾向があります。定期的にストレッチを挟んだり、休憩を確保したりすることで負荷を抑えつつ働ける環境を整えてください。
POINT -
- ●仕事内容によって復帰時期が大きく変わる
- ●負荷が大きい仕事ほど慎重な判断が必要
- ●復帰後も疲労管理と休息が重要
体験談を参考にする際の注意
骨切り術は個々の骨の形、軟骨の残り方、筋力、年齢によって結果が大きく変わる手術です。そのため、インターネット上にある体験談は参考になる部分があっても、同じ経過を辿るとは限りません。体験談を読み過ぎると、不必要に不安になることもあります。
なぜ注意が必要かというと、体験談には「個人の条件」が多く含まれており、医学的に一般化できない情報も交ざっているためです。例えば同じRAO手術を受けた人であっても、手術範囲の大きさ、骨の硬さ、筋力の差によって、回復スピードはまったく異なります。
体験談を見る際に知っておきたいポイントをまとめます。
| 注意点 | 理由 |
|---|---|
| 経過は人によって大きく異なる | 骨形状・筋力・年齢など前提条件が違う |
| ネガティブな体験談は偏りやすい | 痛みが強い時期に投稿されることが多い |
| すべてが医学的に正確とは限らない | 感覚的な表現が中心になりやすい |
| 医師の判断を優先するべき | 個人の経験より医学的評価が正しい |
体験談は「イメージをつかむ補助」として活用し、最終判断は専門医の診察結果に基づいて行ってください。信頼できる情報源と個人の感想を分けて考えることが、冷静な判断につながります。
POINT -
- ●体験談は参考にはなるが、個人差が大きい
- ●ネガティブな情報ほど目に入りやすい
- ●最終判断は医師の診断を優先することが大切
名医を見つけるためのチェックポイント
骨切り術は、骨の角度や位置を精密に調整する高度な手術です。そのため、手術経験が豊富な医師に相談することが重要になります。専門性が高い分、医師ごとに得意な術式や経験数が異なるため、事前の情報収集が欠かせません。
信頼できる医師を選ぶために、確認しておきたい要素を整理すると次のようになります。
| チェック項目 | 確認したい内容 |
|---|---|
| 手術件数 | 骨切り術(RAO・キアリ・大腿骨骨切りなど)の年間件数や累計件数 |
| 得意な術式 | どの手術を最も多く担当しているか、臼蓋形成不全や骨頭側の異常などの専門分野 |
| チーム体制 | 理学療法士や看護師との連携が取れているか、術後フォローはどうか |
| 説明の丁寧さ | 術式・リスク・回復過程について、患者が理解できる言葉で説明してくれるか |
| 実績の公開 | 学会発表や論文発表があるか、専門的な研究に取り組んでいるか |
医師の技術レベルを把握するうえで、年間の手術件数は有用な指標です。多くの症例を担当している医師ほど予測できる範囲が広く、術中の微調整も的確に行える傾向があります。また、術後のリハビリは回復に直結するため、病院全体のチーム力も見逃せません。
診察の際に説明が丁寧かどうかは、医師の姿勢を見極めるポイントになります。質問に対して明確な回答があるか、デメリットも説明してくれるかを確認すると安心です。
POINT -
- ●手術件数や専門分野の確認が欠かせない
- ●チーム体制や術後フォローが整っていることが重要
- ●説明が丁寧かどうかで信頼度を判断しやすい
そもそも手術を必要としない再生医療(幹細胞治療)とは
手術を避けたい方にとって、再生医療は新しい選択肢として注目されています。自分自身の細胞を使い、傷んだ組織の修復を助ける点が特徴で、関節の切開や骨切りを行わないため、体への負担を抑えながら治療できる点に魅力があります。
再生医療の中心となるのが「幹細胞治療」です。幹細胞には増える力と、壊れた組織を修復する働きが期待されており、炎症を抑え、関節の環境を整えることに役立ちます。これにより、股関節の痛みが軽減し、歩行や日常動作の負担が軽くなるケースも報告されています。
ただし、骨の形を根本的に変える治療ではないため、臼蓋形成不全のように骨そのものが原因となっている場合は効果が限定的です。軟骨の損傷が軽度~中等度の段階で検討されることが多く、進行が進みすぎた症例では骨切術や人工股関節の方が適する場合があります。
治療は外来ででき、注射中心で入院も不要なため、仕事や育児で長期の休みが取れない方にとって負担を抑えやすい点も利点です。一方で、保険適用外となるケースがほとんどで、費用は自己負担になる点は理解しておく必要があります。
POINT -
- ● 手術を避けたい人が選びやすい治療法
- ● 幹細胞が炎症を抑え組織修復をサポート
- ● 外来で可能で社会生活への負担が少ない
- ● 骨の形を変える治療ではないため適応の見極めが大切
骨切り術と人工股関節・再生医療の比較
股関節の治療には複数の選択肢があり、骨切り術だけが唯一の方法ではありません。人工股関節や再生医療など、それぞれの治療は異なる強みを持っています。治療効果を最大化するためには、これらを比較し、自分の状態に最適な選択肢を把握しておく必要があります。
理解しやすくするため、3つの治療を表で整理します。
| 治療 | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 骨切り術 | 自分の関節を温存し、荷重のバランスを整える | 関節の自然な動きを保てる/若年層に向く | 回復に時間がかかる/適応が限られる |
| 人工股関節置換術 | 関節を人工物に置換し痛みを大幅に改善 | 早期に痛みが軽減/生活復帰が速い | 人工関節の寿命がある/若年層では再置換の可能性 |
| 再生医療(PRP・幹細胞など) | 炎症の抑制や組織修復を促進 | 体への負担が少なく外来で施行可能 | 変形の改善は期待しにくい/骨切りや人工関節の代替にはならない |
骨切り術は、軟骨が残っている段階で関節を長く温存したい人に向いています。人工股関節は痛みを素早く取り除きたい場合に有効で、特に末期の変形では優先されます。一方で再生医療は、炎症や痛みの緩和を目的とした補助的治療として活用されることが多く、関節構造の大きな問題があるケースでは手術の代わりにはなりません。
選択肢が複数あるため、画像検査で軟骨の状態を確認し、将来どのように関節を使っていきたいのかを医師と共有することが大切です。生活スタイルや仕事の負担も考慮し、長期的な視点で治療を選びましょう。
POINT -
- ●骨切り術・人工股関節・再生医療は特徴が異なる
- ●軟骨量・病期・生活スタイルに応じて適切な選択肢は変わる
- ●未来の関節の使い方を踏まえて治療方針を決める
まとめ・股関節 骨切術で後悔しないために知っておくべき選択基準
股関節 骨切術について理解を深めていくと、手術の目的やメリットだけでなく、術後の回復に時間がかかる点や、患者さんごとに適応が異なる点など、知っておきたい要素が多いことに気付かれると思います。特に、寛骨臼回転骨切り術(RAO)やキアリ骨盤骨切り術、大腿骨骨切り術は、どれも「自分の関節を温存する」という大きな利点があります。一方で、人工股関節置換術とは回復スピードや手術の負担、再手術のタイミングが大きく異なるため、どちらが適しているかは年齢・変形の程度・生活スタイルの影響を受けます。
今回の記事が、あなたが今感じている不安を少しでも軽くし、冷静に治療選択を考えられる材料になっていれば幸いです。股関節の治療において「いつ相談するべきか」「どの医師を選ぶか」「どんな治療を選ぶか」は、将来の生活の質を決める大切な判断になります。
少しでも違和感や痛みが続く場合は、一度専門医へ相談していただくのが安心です。適切な時期に適切な治療を選ぶことが、股関節の機能を長く保つための第一歩になります。今後の生活を見据えながら、無理のない範囲でベストな選択肢を見つけてください。
よくある質問 Q&A(股関節 骨切術)Q1. 股関節 骨切術はどんな人が受ける手術ですか?A. 主に臼蓋形成不全を背景とした初期〜中等度の変形性股関節症で、軟骨がまだ残っている比較的若い方が対象です。 Q2. 股関節 骨切術の入院期間はどれくらい必要ですか?A. 一般的には3〜6週間の入院が必要です。 Q3. 手術後の痛みはどれくらい続きますか?A. 手術直後は痛みがありますが、治癒が進むにつれて徐々に軽減します。 Q4. 仕事復帰はいつできますか?A. デスクワークなら1〜2か月後、立ち仕事や移動が多い仕事は3〜6か月後が目安です。 Q5. 股関節 骨切術と人工股関節手術はどう違いますか?A. 骨切術は自分の関節を温存する手術で、若年層向けです。 Q6. 手術ができないケースはありますか?A. あります。
Q7. 股関節 骨切術の費用はどれくらいですか?A. 費用は健康保険が適用され、3割負担で約20〜30万円前後が目安です。 Q8. 再発したり再手術が必要になることはありますか?A. 骨切術は関節温存に優れていますが、将来的に痛みが再発する可能性はあります。 Q9. 体験談は参考にして良いですか?A. 参考程度なら問題ありませんが、病状・骨の形・生活状況は人によって大きく異なります。 Q10. 再生医療(PRP・幹細胞治療)との組み合わせはできますか?A. 病状によっては可能です。ただし、骨切り術の代わりになるわけではなく、補助的な選択肢としてとらえるのが現実的です。 |
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